　仮額作業の途中思い出す・・・居酒屋の恩人 : 洋画家　美崎太洋の遊画遊彩記

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僕にしては珍しい絵の一枚だ！港に漁船は見えるのだが主役ではない。主役は後ろの煙を上げている製紙工場だ。２０１４年の８月１２日にこの鵜殿の港に初めて行った。いつもは漁船、波止場、漁港の風景などを主に描いているので、当初え！これなに？と言う感じだった。この港は前の晩（８月１１日の夜）新宮の太平洋と言う酒の銘柄の看板が目に入り「よしここにしよう」と入った居酒屋でお客さんに教えてもらったのだが、あまりにも僕のイメージとは大きく違っていたのだ。しかし、じっと噴煙を上げる工場の煙突を見ていると、子供の頃に帰るのを忘れて暗くなるまで石炭を下すクレーンを見ていたのを思い出した。ザザザーと音を立てながら船から港に石炭をすくっては下ろし、すくっては下ろしのクレーンの首振り作業が面白くてずっと見ていたのだ。この煙突からの煙は僕を少年時代の気持ちに誘った。一瞬、一瞬、形を変えながらダイナミックに延々と煙を吐き続ける姿は凄い！初めて見る鵜殿港の光景に感動。いま改めて思えば港と工場の煙、僕にとっては珍しくも貴重な一枚だ。