人気ブログランキング | 話題のタグを見る

絵ごよみ 村への入り口

絵ごよみ 村への入り口_a0086270_19375770.jpg

僕は小学校へ入学前する前の年、叔父(当時15歳ぐらいか)の自転車のサドルの前に座布団を巻き、紐で縛った所に乗せられ、僕もハンドルを持ち何処かに行く予定だったのだろう。しかし、村の外れの池に沿ったカーブのとこを曲がろうとしたところ、正面にトラックが急に現れた。叔父さんは衝突を避けようと道の脇の方にハンドルを切ったのだが、砂利道にハンドルを取られよろけた。僕の腰掛けている座布団はくるりと回転したのだろう、池の中に落ちた。あいにく夏の頃なので、田んぼに水を入れていて、池の水量は少なく、僕はすり鉢状になった池の石や土の混じった地べたに頭をぶつけ、水の中に飛ばされた。叔父さんは水の中で溺れそうになる僕を助けようと、肩まで水に浸かりながら手を伸ばすのだが届かず、僕も必死で手を伸ばすのだが、あともう少しと言うところでブクブクと沈んでゆく。そんな所に、後で聞いた話だが何かの選挙があり、通りがかったおじさんに僕は引き上げてもらったのだ。水から引き上げられたシーンの記憶はないが、その後、池から道までの土と木の根っこが垂れ下がった壁を、助けられながら登ったのは覚えている。その頃は今と違い携帯もなく、救急車も呼ぶこともなく。頭から血を流しながら助けていただいたおじさんと三人で砂利道を20〜30分かけて家に戻った。今度はもう少し年上の叔父さんにおんぶされ、ねんねこを巻き、また自転車で池のところを通り抜け、町の病院へ行った。頭はみかんをむいたように裂けていて15針縫ったとのことだ。子供にしては大怪我だと思うのだが、今の時代と比較するとのんびりしていたようにも思うが、あの頃はこの方法が普通だったんだなーとも思う。このことは僕にとって重要な愛の勉強の入り口で、今の自分を成り立たせてくれている大切な一つの出来事だったのだなとつくづく思う。




にほんブログ村 美術ブログ 絵画へ

by taiyoart | 2024-09-01 19:38 | 絵ごよみ随想 | Trackback | Comments(0)

美崎太洋の油絵 明るい、楽しい、嬉しいをモットーに描いている。


by TAIYO
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31